錦織圭選手 - 全仏オープン
優勝が期待された錦織圭選手の全仏オープンですが、
ベスト16でフランスのガスケ選手にセットカウント3-1で負けました。
この試合が放送された日、第一セット4-2と錦織選手がリードした時点で、
ほとんどのテニスファンは、錦織選手が優勢に試合を進めきると思ったことでしょう。
その前のベルダスコ選手との試合のほうが、苦戦していたと思っていたのは、
私だけではないと思います。
ところが、あいにくの雨で試合が1時間中断されます。
このときすでに、日本は真夜中、ベスト8を確信して、多くのテニスファンは、
翌朝のスポーツニュースを期待したと思います。
ところが錦織選手は負けてしまいました。
ハイライトを見ると、要所要所でウィナーとなるべきショットが、
ラインを割ってしまったり、ネットにかけてしまったりで、
錦織選手が苛立つシーンばかりでした。
「雨での中断がなかったら」ということは、負けの理由にはなりません。
雨の中断で彼が勝った試合も当然あります。
テニスに限らず、スポーツは究極のところ、精神と肉体のバランスなのだと思います。
今回の錦織選手は、微妙なところでそれがかみ合わなかった。
ミスした時の気持ちの切り替え、ぎりぎりのところでのボールへの集中、
「できる」という無意識の確信と常に冷静な積極性、そして勝ことへの執着、
自らスポーツをしている人であれば、意識の大切さに共感してもらえると思います。
錦織選手は、おそらく、次の目標に向かって、自分を立て直していると思います。
悩んでいるひまはありません。
プロテニスのトップテンはそれほど甘くないと思います。
バックハンドのダウンオンザラインショットの精度を上げるため、
そのクロスがネットしないための工夫、
そしてサービスの強化など、取り組まなければならないことはたくさんあります。
それらの組み立てを合理的に進めるために「コーチ」が存在するのでしょうが、
コーチは単なる物理的指導者ではなく、勝つことへの精神の指導者でなくては、
プロの場合、用をなさないのだと思います。
一人のテニスファンとしてこれからも、錦織圭選手を応援していきます。
今年の夏、私がお世話している7年生の生徒が、錦織選手が育った
フロリダ州にあるIMG Nick Bollettieri Tennis Academyに行くそうです。
私がNickと会ったのは、80年の後半だったと思いますが、
ジュニア育成のカリスマのところで、その生徒が何を学んでくるか、
楽しみにしています。