日曜コラム ホームステイの難しさ
アメリカでボーディングスクールから大学に進学をするにあたり
友人宅に下宿する生徒のお母さんからの依頼で、その家庭との基本条件を
文章にしてほしいということで、「滞在契約書」を作成しました。
滞在費用はいくらか、食事はどのように提供されるか、門限はあるかないか、
いつからいつまで滞在するか、出る時はいつそれを伝えたらいいのかなどなど、
契約書となると、お互いが知っておかないと問題になることが出てきます。
もうすぐ欧米の1学年末になりますが、昨年ホームステイをして
学校に通学するというタイプの留学を選んだ5名の生徒のうち、
ホームステイを変えなかった生徒は名です。
あとの3人はホストチェンジをしています。
ホームステイの難しさは、滞在する生徒と家長との関係性にあると思います。
もちろん、現代の欧米では、「家長」という社会的な制度はありません。
しかし、どの家にも中心となるいわばディレクターがいることは現実です。
それを家長と考えるわけですが、一般的にはホストマザーということになります。
ホストマザーは、そこに滞在する生徒にとって第二のお母さんとなります。
このホストマザーとの生活的価値観の共有がとても難しいのです。
たとえば、食生活を考えてみると、好き嫌い、味付け、食事の時間など、
留学生は相当な変化に耐えることになると思います。
お金の使い方や帰宅時間、そして友達付き合いなども、留学生の自由に
ならないのが現実と思います。
ホストファミリーへの不満を聞いて、「なるほど」とこちらが
納得できるケースも多くあります。
そのような場合、日本のコンサルタントがホストマザーに直接、
問題点を指摘することが、問題解決にならないところがホームステイという
いわば留学システムの最大の問題点であると思います。
「それも人生勉強」ということは、手配者の勝手な言い分のように思えます。
なぜならば、生徒がホストとの問題を外部に表明するということは、
自分のなかの忍耐の限界を超えているわけですから、その過程には、
すでに本当のお母さんとの相当のコミュニケーションを経ているわけです。
それを、理解しないで、我慢を強いるのは、プロフェッショナルではないと思います。
ホームステイの問題で「ゼロ百」はありません。
すなわち、どちらか一方が100%悪く、他方が完全に良いということはありません。
家長との人間関係のバランスが常にホームステイでは求められます。
1年間の限定で、欧米の家庭を知るために、学習以外の体験として考える
最初からそのように考えられるのであれば、
ホームステイは良い経験となるかも知れません。