好きなことを中心に考える 異文化適応
<水曜日のブログに続きます>
英語をコミュニケーションの手段として活用することと、受験のための英語学習は、根本的に違います。
10代半ばの生徒たちが、成人よりもはるかに速いスピードで生活の中から英語を習得できるのは、新たな生活環境をすなおに受け入れることができるからだと思います。
それをさらに加速するのが、彼らが熱中できるものあるいはことを留学生活で発見することです。
留学するために必要なことというと、誰しもが一番初めに語学力を挙げますが、現実はそうではありません。英語力が必要ということがわかっていても、留学前にそれを徹底して学べるかというとそうではありません。「『わかってはいるけれど、留学すればどうにかなる、どうにかする』と思っている」と留学を控えたわが子の現実を嘆くお母さんの苦言を今まで私は相当な回数聞いてきました。
留学の初期、留学生が直面するのは、英語に対する圧倒的な知識不足と、今までやって来た英語が使えないということに対するいらだちです。それ故に、意識としては、猛烈に勉強して英語力をつけるとなりますが、現実的にはどこから手をつけていいのかわからないのです。焦り、苛立つ意識のなかで、単語や構文を覚えるとか、重要表現を暗記するなどという地味な学習作業は、自主的にはうまくは進まないものです。
このような時、勉強以外で自分が好きなこと、夢中になれることが留学生の最初の不安定な時期の救いになります。スポーツ、音楽、芸術、その他の特技などは、英語学習とは違い、自分が得意としているものですから、外部事情とは無関係に自らが集中でき、夢中になれることがらです。
野球、サッカー、ピアノ、バイオリン、バスケットボールなどで、自己表現をすることで留学生たちは焦るこころを落ち着かせることができます。さらには、異文化のなかでそれらの活動を通じて友だちも作ることができます。その友だちは、留学生にとって英語を学ぶための重要な手掛かりになります。
ホストファミリーとの対話が、留学当初極めて困難なのは、自分の生活ペースがわからないことにあります。好きなことを、作る機会、それは与えられるものではありません。どうにかして、自らが獲得しなければいけません。だから、自室に籠っていても何も始まらない、チャレンジする機会を探そうとする意識が留学生を育てます。