#2 ボーディングスクールの教育
<金曜日のブログに続きます>
生徒たちの学力評価の方法として定期試験を行わないというFay Schoolの方針は、驚異でした。日本ではありえないことがアメリカのジュニアボーディングスクールでは当然のこととして考えられているということになります。
生徒たちの学習評価をレポート中心で行うというのは、日本の場合、大学であれば十分に考えられると思います。しかし、高校以下の教育においては、レポート、リサーチ、討議、プレゼンテーションなどは、尊重されるべきであることは、十分に理解されていても、それを実際に行うことは、1クラス40名での授業では、達成できないと思います。
ボーディングスクールでなぜそれが可能なのかというと、結局、大学入学に際して、求められている知識、考え方、能力が日本のそれと根本的に異なるということになると思います。
情報革命が行われて、「知識」に対する考え方が変わったことにアメリカの場合、より具体的に、より実用的に対応した結果、そのようになったのではないかと考えられます。知識の蓄積量が問われるのではなく、考え方やものの見方が重視され、尊重されることが、そこでは実践されています。
たとえば、Fessenden Schoolでは、イノベーションラボというITに関連する取り組みがとても積極的に行われています。そこでは、3Dプリンター、レーザーカッターなど、ITの先端を行く機材を生徒が自由に使えます。ドローンや模型バギー車にカメラを搭載していろいろな映像を作ったり、多種、多様なロボットの制作をしたりして、生徒たちは自主的に授業に取り組んでいます。そのイノベーションラボがさらに3倍の広さに拡大されて今年の秋に新設されます。
このクラスには、先生はいるものの、授業は生徒自身が行うものと言っていいと思います。3Dのバーチャル映像や、センサーを利用した義手などを中学生が作っています。
いかにも10代の前半の子どもたち、とくに男子が興味を持つようなことが、授業として正式に採用され、その結果、多くの生徒がテンスクールズをはじめとするアメリカのトップボーディングスクールに進学しているのです。
「授業を受ける子どもたち」という表現よりも「授業を行う子どもたち」といったほうが適切な表現なのではないかと思います。そこでは、生徒たちが自ら考え、行い、結果をまとめるという作業が当たり前のこととして行われています。