#4 勤勉な日本人-労働観の違い
<前日のブログに続きます>
Tさんによると、彼の周囲の人たちは、与えられた仕事を終えても、
リーダーに報告しないなどは珍しいことではないそうです。
それでは、大きなプロジェクトは進まないばかりか、
チームとしての統制が取れなくなってしまいます。
チームワークの重要性を理解して、自分が何をすべきなのかを
先回りして考えられるからTさんは有能なエンジニアとして
スーパバイザーからもその仕事ぶりが認められるのではないかと思います。
彼の部署には、おおよそ20名のほどのエンジニアがいるそうですが、
みな英語は話せるものの、中国、インド、タイ、ベトナム、韓国、メキシコ
などアメリカ人といっても多種、多様な人種の集まりだそうです。
そのなかで、大きなプロジェクトの中核を現場で担っているのが、
Tさんだそうですが、おそらくTさんの精神の核には、
日本で過ごした20数年のなかでの労働観、社会性などがあると思います。
Tさんとは、留学時代からの友人なので、知り合ってから35年くらい経ちます。
彼はその間、ずっとサンフランシスコで暮らし、永住権を獲得し、
結婚して家も買いました。
私は学校訪問では、サンフランシスコに行くことはほとんどないのですが、
彼が3年に一度くらいは帰国するので、その度に世間話をします。
そうすると、本やネットでは大変見つけにくいアメリカの生活情報を、
彼はどっさりと私に提供してくれます。
今回は特に、アメリカの一般の人たちの仕事ぶりについて聞くにおよび、
勤勉さや仕事に対する思い入れが日本とはかなり違うということに
改めに驚かされます。
指示待ち、問題の先送り、無関心など、日本でも問題にされますが、
これは日本だけの問題ではなく、いわばネガティブな意味での
グローバルな課題ではないかと思います。
Tさんと話していると、彼がアメリカ人となっているとは到底思えません。
アメリカ在住ですが、仕事ぶりは将に「良い」日本人そのものです。
彼はとても勤勉であり、自分の仕事に責任を持ち、
そこにやりがいも見出しているように思えます。
当然のことながら、アメリカ人にもたくさんの勤勉な人はいると思います。
しかし、彼らの中で大きな仕事に意欲と情熱をもって取り組んでいるTさんは、
とても頼もしく、その精神が立派に思えます。
バイリンガルであるだけではなく、バイカルチュアルな人材が、
これから世界で活躍の舞台を拡げると思いますが、Tさんは、世界のどこに住んでも、
日本人としての良い特性を発揮できる精神をもった人であると思います。