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日曜コラム - オークランド博物館

学校訪問を終えた午後、アパートメントホテル近くのAuckland Domainという
大きな公園をジョギングしていると、小高い丘の上に縦100メートル、
横70メートルほどの石造りの堂々とした建物がありました。
オークランド博物館(Auckland Museum)でした。
ダニーデンのオタゴ博物館は、展示物の殆どが、
南太平洋の民族やマオリ族の歴史と生活、そしてイギリスから移住した人々の
ニュージーランドの歴史を紹介するものでしたが、
このオークランド博物館には、それ以外に2つの興味深いトピックがありました。
マオリショーは時間の関係で見ることができませんでしたが、
2階には、恐竜の骨格がいくつか展示されていて、その中でも
目を惹かれたのは、プテラノドンという空を飛ぶ恐竜のほぼ完璧な骨格です。
翼を拡げた長さはおおよそ8メートルほど、体長は3メートルほどでした。
くちばしは60センチほどで反対側に細長く伸びた頭蓋骨と合わせると
1メートルくらいはあったと思います。
脊椎は太くがっしりしていましたが、内臓を保護している肋骨は異常に小さく、
足の骨や翼の骨も先端は1センチもないほど細くなっているので、
ジュラシックワールドでは、人間をわしづかみにしていたプテラノドンでしが、
実際は自分の体重よりも重いであろう人間を掴んで持ち上げることは
出来なかったように思います。
その他、ティラノサウルスよりも少し小型の恐竜の完全な骨格、
そして映画ですっかりおなじみになったベラキロプトルをより小型化した
恐竜の骨が再現されていたのがとても印象的です。
その上の階の両サイドには22型のゼロ戦とイギリスの戦闘機、
スピットファイアーが展示されていました。
どのようにしてこの飛行機が保存されることになったのかという経緯が
英語と日本語で説明されていました。
また、おそらく真珠湾攻撃であろうところの映像、ほか、いくつかの
ゼロ戦の戦闘シーンのビデオが上映されていました。
ゼロ戦とスピットファイアーでは、エンジンの大きさが倍も違うのではないかと
思われるほど外見からも違いが分かります。
海外でゼロ戦に遭遇するのは、カリフォルニアについで2回目ですが、
この飛行機を見るたびに、欧米の当時の戦闘機と比較して
ゼロ戦は華奢で軽くそれほどスピードも出そうとは思えません。
それをカバーした工作技術、操縦士の技術は世界の驚異だったのでしょう。
技術の伝統を日本は平和への貢献としているわけですが、
その信念は、絶えず検証していないと、戦争が過去のこととして
遠ざかれば遠ざかるほど、揺らいでしまうものなのかもしれません。
それがどれほど、悲惨で人々を苦しめるか、身をもって教えてくれ、
語り、リードする人がいなくなればなるほど、
実感することが難しいのかもしれません。
ニュージーランドで遭遇したゼロ戦、そして幾多の戦争の遺物は、
これからの世代の人に過去の人々が背負った恐怖を繰り返さないための
モニュメントであってほしいと思います。

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