オンライン授業は留学の代わりになるのか?
最近の気温の上昇と共に庭の木々、The bushと家族内で呼んでいる生垣の枝が暴れ出しています。毎週のように選定をしてもその都度、他の場所から枝が伸び始めキリがないのですが、外で軽い運動として捉えるとあまり苦ではなくなります。丁度、一年前も今頃と同じように在宅の時間が長くなりちょくちょくとThe bushの選定をしていたことを思い出しました。この状況がもう一年以上続いていることについて改めて考えさせられました。
「新しい日常」とも言われて日々の生活習慣が激変したこの一年ですが、教育関係においてもその状況は激変しています。海外へ気軽に行く事が出来なくなったことで留学をするにもそのハードルは以前に比べて高くなりました。そしてその代わりとしてオンライン留学やオンライン学習というワードを頻繁に目にするようになり、同時にそれに対するコメントを求められることも多くなりました。
その中でも、一番多くいただく質問として「オンライン学習で留学と同じ成果を求める事が出来ますか?」という質問です。その答えは多少意地悪な答え方かもしれませんが、「あなたが留学に求めているもの次第」と返答をしています。もちろんそこからのコミュニケーションを通して個々の答えを導き出していきます。留学は実はとても概念的なものです。「留学」とウィキペデアで調べてみると、その定義は「自国以外の国に在留(ホームステイ等)して学術・技芸を学ぶことをいう。」(Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%95%99%E5%AD%A6) となります。その定義には勉強の内容や期待する成果は定義されていません。そういった意味で留学とはとても曖昧なものである事がわかります。従って、オンラインが留学の代わりになるのか?という議論を一般論として語ることは非常難しく、「自分が求めている学業成果はオンラインでも習得可能か?それとも留学をしないと手に入らないものか?」そしてそれは何故なのか?そこまで問い詰めることで初めて「オンライン学習で留学と同じ成果を求める事ができるか?」の答えについて、そのアドバイスをする事ができると考えています。
オンラインで授業を受けることの意義についてももう少し掘り下げていきたいと思います。私自身の見解としてはコロナ後において、オンラインというメソッドを利用しての学習をする、自己研鑽をするスキルを持つ事は必須と考えています。
以前のブログでも触れましたが、日本においても文部科学省主導で「GIGAスクール構想」という名目でICT(情報通信技術)を活用した授業の推進を進めていますが、実際にすでに大きな成果を収めているニュージーランドと比べてもその利用の範囲は限られていると言えると思います。その差はとても興味深い形で多少の問題を発生させることもあります。その一例ですが、例えば多くの日本の大学の帰国子女枠の提出書類の条項を読むと成績表の提出、その原本を「厳封」で送ることを指定されている場合が多々あります。しかしながら、現在の世界的なスタンダードで言えば、紙面を厳封で送るというシステムは取られていません。英語圏の学校では成績表や推薦状はそれを発行する学校の担当者が生徒の希望する大学へ書類を直接メールベースで送信するシステムを取ることで「厳封」と同じ意味を持たせています。「厳封された書類」が目的ではなく、厳封することで得られるメリット(偽造防止など)を同様に得られる他の手段があればそれを積極的に活用することは極めて先進的な考え方だと言えるでしょう。
また、少し教育から離れますが、私がお付き合いをさせていただいている方々の中には日本を代表する企業で働く方がいる一方でGAFAなどの世界規模の企業で働く方々もいらっしゃいます。一概に比較をする事はできませんが、世界規模の企業で働く人たちは事務処理のために出社をするなどの事例は稀なようです。そのような事例がある事に驚きを持つ方さえいらっしゃいます。これが意味するところは、オンラインでできる事を積極的にオンライン化してしまおうという流れです。そして同時にオンライン、オフラインというプラットフォームの違いに関わらず仕事に対する高いパフォーマンスをこれらの先進的な企業では求められるという事とも言えると思います。さらにその流れがコロナ終結後に加速する事があっても、以前のようなオフィスベース環境に完全に戻る事はないでしょう。
上記のようなケースが多くなる事が予想される世の中において、「オンラインで学習する事」自体に意味を持たせる事が出来ると考えいます。対面式の授業とオンラインの授業が「違う」事については誰もが同意するところだと思いますが、それが理由で学業、仕事にマイナスな影響が出る事が許されない世の中がすぐそこまで来ています。オンラインでは能力が発揮できないという言い訳が通じなくなるという事です。
最後に「オンライン授業は留学の代わりになるのか?」という問いをもう一度考えてみるとオンラインの学習や仕事をする事は今後のキャリアを積み上げて行く上で必要なスキルであり、「英語を学ぶ」と同列に「オンラインで学ぶ」事がスキルとして重要となっていると言えると思っています。