トロント大学サマープログラム同行記 2024(2)
前回の続きです。
10年を超えるトロント大学での定点観測で近年特に感じるのは子供達の英語力の向上でしょう。
私が連れていく日本からの留学生に限った事ですが、彼らの英語力は全体的に確実に上がっていることが伺えます。
具体的にその様に感じるのはコミュニケーション能力の部分です。とてもざっくりとした一般論ですが、例えば英語検定2級レベルの生徒がいたとしましょう。5年前、10年前の生徒の場合、英語検定2級を所持する生徒の一般的な感覚値としては、「英語をある程度一生懸命勉強していて、英語に対する知識のある生徒」という印象でした。それでも実際に英語を話す場になると英語を口に出して話したことがないので、コミュニケーションをするには難しいという生徒がほとんどでした。
それに比べると、特に今年の生徒たちは同じ英検2級レベルの子供たちであったとしても、その英語基礎知識を活用してコミュニケーションができるレベルに引き上がっている様に感じます。また、幼い頃から英語教育や海外経験の豊富な生徒も全体的な割合としてとても多くなっていて、外国人に対して物怖じすることもなくスタートの時点から自然に振る舞える生徒の多さに驚きを隠せません。
日本における英語教育がよりコミュニケーションに力を入れ始めた成果なのか?それとも英語教育に苦い経験(受験勉強まで一生懸命英語の勉強をしたのに話せない・・・)からの反省として親御さんが頑張った成果なのか?、今回はその辺りまでリサーチを及ばせる事は今の時点ではできませんが、これは実際に生徒たちが先生や他の生徒たちと話しているのを見て感じる率直な感想です。
トロント大学のプログラムも、立ち上がった当初は英語力を向上させるためのプログラムが主軸でしたが、今ではそこから派生する形でPre-UやGCPといった、「英語で学ぶ」プログラムに対する人気もだんだんと高まってきています。
その受け皿は広がってきていますが、英語を話せる子にはよりグローバルな環境で自らの考えをしっかりと表明できる技術力の向上を、英語力をこれから伸ばす子どもたちにとっては、このプログラムを英語を使うための実践の場として、そして英語が通じる楽しさを実感してもらう。カナダ・トロント大学がそれらを体験するための素晴らしい学びの場である事は10年以上経っても、変わることありません。